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災害廃棄物処理の再生利用について
再生利用の考え方
マスタープランでは、廃棄物の種類に応じて再生利用を積極的に進める方針としており、特に再生利用しやすい金属類などは、一次仮置場の段階から、分別して有価で引き取られ、ほぼ100%再生利用が行われた。他にも家屋解体による角材、柱材なども適宜、解体現場から再生利用向けに引き取られるなど、積極的なリサイクルが図られた。
一方で、コンクリートくずなどを、土木資材として利用するためには、破砕・選別等による異物除去や粒度調整が必要であるが、これらの処理が本格化した頃は、まだ被災地の復旧、復興事業が本格化しておらず、需要と供給のギャップにより、受入の具体化が進まなかった。また、受入先が明確でないと、再生資材として満足すべき条件が明確にならず、必要な破砕・選別の具体的な内容が決められないため、その点も再生利用を進める上の課題と認識された。
津波による災害廃棄物は、塩分の問題と海底土砂の混入等の課題があり、用途によっては塩分等の除去が必要となる場合もあった。例えば、被災地のセメント工場では、除塩施設を設けることで、津波土砂混じりの不燃物も含めた幅広い性状の災害廃棄物を受け入れることが可能となり、被災地での災害廃棄物の処理に大きな役割を果たした(大船渡のセメント工場1箇所で、合計97万トンを処理)。
再生利用の推進
- 災害廃棄物のうち再生利用可能なものは極力再生利用を実施。その結果、災害廃棄物で81%、津波堆積物で99%の高い再生利用率。
- 公共事業担当部局の積極的な協力により、多くの復旧事業等において、再生利用を実施。多様な利用先を確保。
- 公園整備、堤防復旧、海岸防災林などの整備事業に活用(岩手県350万トン、宮城県947万トン、焼却灰の再生利用量は約42万トン)。
岩手県釜石市の事例
宮城県南三陸町の事例
公共事業における再生利用
災害廃棄物の再生利用を円滑に進めるためには、利用側とのマッチングが重要であり、被災地の復旧・復興事業での積極的な活用を図るには、事業官庁である国土交通省や農林水産省との連携が重要である。
このため、環境省では、「災害廃棄物の処理等に関する3省連絡会」を立ち上げ(3月18日)、それぞれの地方部局も参加して、再生利用を含む処理を円滑に進めるための連携体制を整備した。後に、セメント業やバイオマス発電を所管する経済産業省も参加した。
事業官庁の協力を得て、復旧工事等で必要となる資材について、必要となる時期、場所、要求品質などをリスト化してもらい、これを廃棄物処理担当部局に提供するというマッチングの仕組みを構築した。
平成24年5月には、「東日本大震災からの復旧復興のための公共工事における災害廃棄物由来の再生材の活用について」の通知を発出し、公共工事における活用方針を明確にした。これを受けて、岩手県では、地盤工学会からの技術指導を受けて、6月に県復興資材マニュアルを策定し、資材性能としての統一した基準を設けることで、その活用促進を図った。
また、「災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会合」において、政府全体として公共事業における再生利用の促進を図ることを申し合わせるなど、国土交通省、農林水産省等の積極的な協力を得て、その促進が図られた。
災害廃棄物由来の再生資材を活用している主な公共事業
再生利用の実績
上記のような取組の結果として、災害廃棄物全体の8割超、津波堆積物のほぼ全量を再生利用することができた。
堤防復旧事業や海岸防災林復旧事業等の公共事業における再生利用は、平成26年3月末時点で、1,339万トン(岩手県350万トン、宮城県905万トン、焼却灰の再生利用42万トン)の再生利用先が確保され、コンクリートくずや津波堆積物については、ほぼ全量被災県内での再生利用が行われた。宮城県では、石巻港の港湾環境整備事業において、埋立材としての受入(容量89.4万立米)がなされ、埋立処分量の軽減に大きく寄与した。
関連情報
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