災害廃棄物対策に関して今後取組むべき事項とその進め方(令和4年3月)
1 事前の対応
- 令和3年度は、令和3年7月、8月に発生した豪雨等により、全国各地で同時被害が生じた。廃棄物処理に関する実績を継続的に蓄積・検証し、今後の大規模災害に備えた体制の強化を図る。
- 令和2年度豪雨の被災自治体、支援自治体等へのヒアリングを通じ、災害廃棄物処理計画の実効性向上のために計画に記載すべき事項や見直しの視点が整理された。これらを周知するための資料を作成し、地方自治体への周知を図る。
- 近年の災害対応を踏まえ、各ブロック協議会で行動計画の見直しを行っており、継続的に点検・見直しを行っていく。隣接する地方環境事務所間の連携については、地方環境事務所間で意見交換を行っており、引き続き平時からの災害廃棄物対策に関する情報共有と連携体制の強化を行う。
- モデル事業を通じて、引き続き災害廃棄物処理計画の策定を促していくと共に、災害廃棄物処理策定が困難な自治体が活用できるような災害廃棄物処理の全体像が概観できるようなリーフレットを作成する。
- 図上演習等を行うモデル事業などを通じて、継続的な自治体職員の能力向上を図ることに加え、策定した災害廃棄物処理計画の課題の抽出を行い実効性向上につなげる。
2 発災時の対応
- 被害情報の収集・整理について、関係者間の情報共有を円滑にできるよう各種支援ツールの活用可能性を検討する。
- 人材バンクの支援員も含め、自治体からの先遣隊の派遣を迅速、適切に行うことで、災害時に被災自治体の支援ニーズと合致した支援が行える体制を構築していく。
- 「災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き」などこれまで作成した各種資料の周知を図ることにより、発災時の自治体の対応能力向上を図るとともに、必要に応じてマニュアル類の見直しを実施する。
3 関係者間の連携
- 関係省庁やボランティア団体等関係機関との連携の強化、標準化を通じて、発災後の円滑な災害廃棄物処理体制の構築を図る。
- 人材バンクの登録者が260名(R3年12月時点)となり、令和3年度には2件の被災地支援がなされた。また、これまでに環境省が支援を行った経験をもとに支援員マニュアルの策定を実施した。今後も制度が円滑に運用できるよう、支援員マニュアルや要綱を必要に応じて見直すとともに、支援員が災害廃棄物処理に関する最新の動向を常に把握できるよう定期的に研修を行う。
- 支援員が被災地へ派遣された際に、被災自治体の信頼を得て円滑に活動できるように、継続的に人材バンクの制度・支援実績の周知を行う。
- D.Waste-Net との意見交換を実施しており、発災時に迅速に被災地支援を行えるように、継続して意見交換の場を設け、D.Waste-Net 内で平時からの関係構築を図る。
- 発災時には、現地支援に入る環境省や都道府県の職員、ブロック協議会を通じた支援者、人材バンク登録員、D.Waste-Netメンバー、ボランティア団体などが連携を行う必要がある。地方環境事務所を中心に平時からの関係構築に取り組む。
4 大規模災害に備えた検討
- 南海トラフ地震について、国内における処理可能量や広域輸送に必要な車両数についても整理しているところである。今後、域内におけるリサイクル率の向上や、鉄道を含めた広域運搬手段の確保を計画したうえで、実態に即した処理期間の算定を行う。
- また、災害廃棄物処理に要する費用や温室効果ガス排出量、廃棄物のリデュースについても課題として検討する必要がある。
5 国際貢献
- インドネシアにおける法令整備の技術的助言を実施するとともに、災害廃棄物管理ガイドラインの技術資料のアーカイブ化を行った。今後も、アジア太平洋地域での国際貢献の可能性を検討していく。